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01

心電地図

SECTION 1. 

ELECTRO CARDIOGRAM × MAP

それぞれの鼓動に連動する軌跡が、

別の形へと翻訳された、

ある世界の縮図を浮かび上がらせる。

ここから一巡する「時と空間の旅」は、

この俯瞰された記憶の上に進路をとって、

自らの外へと出発する。

Electrocardiogram is a drawing.

This drawing is one's own world map.

“Travel of Time and Space” which starts and end here,

takes a course on this overlooked memory,

and leaves beyond yourself.

心電地図

第一セクションはここから一巡する旅の出発点であり、循環器系に見立てられたこの展覧会の心臓部となる。ここに集められた作品は、みな作品一つ一つがひとつの世界として成立するような、俯瞰する視点や・循環の構図を持っている。この後、次のセクションでは部屋ごとがひとつの世界となるような構成に変わり、最後のセクションでは部屋ごとが互いに関係しあうような構図になる。

Yuga Galleryの空間を一つの作品でまとめた、展覧会の冒頭の『うちゅう』。

(写真中央)『盗み聴き』は四季を巡るイメージにそれぞれ音楽と物語が付されている。

続く『古くて新しい街』は、記憶の中の街と現在の街並みをつなぎ合わせる。以降も俯瞰するような視点を持つ作品が続く。

このセクションの最後『母と母の故郷を訪ねる旅の計画』は、ミトコンドリアが母から娘へのみ受け継がれるという話をきっかけとして、自身のルーツに思いをはせる旅の計画である。この作品にこめられた「血脈の旅」が、第2セクション「動脈の緯度」へ繋がっていく。

動脈の緯度
02

動脈の緯度

SECTION 2. 

LATITUDE OF THE ARTERY

平行圏とも呼ばれる緯線を越えていく時、

その軌道は季節や気候もまったく異なる地帯を縦断する。

新しく走り出した血液は、この平行する世界を、

だんだんと細部に行き渡るようにしながら進んでいく。

 

When we go over the Latitude, also called as the “Parallels”

 we pass away different seasons and climate zones.

Flesh blood will spread gently into parallel worlds.

第二セクションである「動脈」は明るい南側のアトリエから成る。このセクションを構成する5つの部屋はそれぞれが異なる世界として独立している。第1室から第5室までをたどっていくと、部屋を進むごとにその世界観が穏やかなイメージへ移り変わっていくようになっている。これは心臓を出発した力強い血流が、進むにしたがって次第にその流れをゆるやかにしていくからである。

第1室

第1室

両作家とも絵画への回帰をきっかけとして、蓄えられていたエネルギーが外へと飛び出して来たような強いイメージを現している。

第1室

第1室

両作家とも絵画への回帰をきっかけとして、蓄えられていたエネルギーが外へと飛び出して来たような強いイメージを現している。

第2室

第2室

日常への洞察が感じられる3作品が集まっている。いずれも、家庭的なイメージをともなう暖かそうなモチーフを扱いながらも、そこに込められている作家の鋭い視点にはっとする。

第2室

第2室

日常への洞察が感じられる3作品が集まっている。いずれも、家庭的なイメージをともなう暖かそうなモチーフを扱いながらも、そこに込められている作家の鋭い視点にはっとする。

第2室

第2室

日常への洞察が感じられる3作品が集まっている。いずれも、家庭的なイメージをともなう暖かそうなモチーフを扱いながらも、そこに込められている作家の鋭い視点にはっとする。

第3室

第3室

他者との関係や距離への感性が感じられる5作品。この部屋は中央と廊下側の仕切りを取り払い、大きな空間となっている。

第3室

第3室

(写真左)御座に寝て『日本人風の図』の中をのぞくと、四方をとり囲む「一般的な日本人の顔」が視界を埋め尽くすが、やがてその中に紛れ込む鏡に映っている自分の顔に気が付く。(写真右奥)『かけら』は、鑑賞者に絵を手にとってもらい、また好きな場所に戻してもらう。他者の介入をともなう作品である。

第4室

第4室

架空の旅がテーマの2作品。動脈の旅は日常から、他者へ、そして空想の世界へとしだいにより遠くへ至っていく。

第5室

第5室

このセクション最後の部屋。(写真右)『re.』黄色一色の画面を見ただけではそれが何かはわからない。しかしそれに続くイメージを見て、またもう一度もとの画面を見た時、初めて黄色の意味がわかる。再びを意味する「re」が、動脈の末端から鑑賞者を再び心臓へと送りかえす。(写真左)『いちばん近くて遠い旅』は、実際に使われている枕を描いた絵画と、その枕で見た夢のエピソードが並んでいる。旅路はもっとも穏やかで遠いところへ行きついた。

03

静脈の経度

SECTION 3. 

LONGITUDE OF THE VEIN

その正確な計測に長い年月を要したという経度は、

微妙に移り変わって行く時間そのものと言えるかもしれない。

暗転して折り返した血流は、

このうつろう世界を自由に漂いながら、

自らの中心へと帰って行く。

Longitude took a long time to measure

the accurate numerical value.

Longitude is elusive. Because time is also elusive.

 Scenes change in the dark,

and the blood flow returns to center of itself,

 while freely drifting this fluid world

静脈の経度

最終セクションである「静脈」は北側のアトリエから成る。血液はここで折り返してまた最初の心臓へと帰っていく。前セクションで独立していた部屋どうしの関係が、それそれの部屋ごとが繋がりあい呼応していくような構成へと変わっている。

第1室

第1室

2つの暗室と通常の展示室がリンクするようにしている空間。暗室作品は展覧会の「暗転」として場面を転換している。

第1室

第1室

『カタストロフィは繰り返す』は、自身の震災の体験に端を発した、現実への考察と警鐘である。

第1室

第1室

となりあう暗室の作品『BIRD’S EYE VIEW』は、作家が昔から繰り返し見てきた夢を映像化したもの

第1室

第1室

これら現実と夢という相対するテーマをもった二つの作品の間を『現に夢見る断片』がつなぐ。この作品は作家が見る白昼夢のようなデジャブする風景をモチーフとしたもの。

第2室

第2室

中央壁面の両端を開けて2つの部屋を丸く巡れる空間。それぞれの部屋で静と動のイメージのある作品どうしが向かい合い、2つの展示空間が呼応している。(写真左)動的な印象の2作品が見える。

第2室

第2室

反対側の壁面には、静的な印象を受ける。

第3室

第3室

透明で明るい光の部屋と、照明を扱った作品が集まる影の部屋とが対になっている。最初に入る空間では、平面・映像・立体など様々な形態の中にそれぞれの透明感を感じる。

第3室

第3室

『チケット』は、作家が実際に使った旅の切符をモチーフにした絵画。影の部屋への入口の横で、シンボルのように入場者を迎える。

第3室

第3室

影側の部屋は照明のための暗室となっている。通常の映像作品のためなどに作られる暗室と違い無音の暗がりとなっている。

第4室

第4室

最後は3つの展示空間が繋がる構成となっている。最初の部屋は茶室をモチーフにした大型作品を中心に思索的な3作品が集まる。

第4室

第4室

最後は3つの展示空間が繋がる構成となっている。最初の部屋は茶室をモチーフにした大型作品を中心に思索的な3作品が集まる。

第4室

第4室

続く部屋は、旅をする知覚に関する2作品。(写真中央)『ランドスケープ、ウエノで』 は夜の上野周辺での散策を撮影した映像を元に、壁に投映された映像の軌跡を筆で追って作られている。

第4室

第4室

写真右)最後の部屋への入り口付近にある『ホモ・サピエンスの遺跡』は、遠い未来、現代が考古学の範疇として考察される時代に思いをはせる。静脈の旅は終わりに近づき、次なる未来を構想する。

第4室

第4室

この展覧会最後の部屋は、旅の結末となると同時にもう一度振り出しにもどるようなイメージとなる。(写真左)『箱庭』は現実とバーチャルとが交錯するようなストーリーが付されており、その物語は仮想と現実があべこべになって終結する。(写真右)『9』『平和を我らに』は死にまつわる夢と、誕生日がモチーフとなった2枚の絵画作品。

第4室

第4室

写真左)『time parade』は人類の進化を概観する。また(写真右)『Where I Belong』は作家が実際にDNA鑑定を行い、人間のルーツがアフリカから始まり現在地にいたるまでの長い旅路の果てにある事を考察する。そのミクロとマクロにまたがるような視点が、この展覧会のラストを俯瞰的な第1セクションへと繋げる。

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